福島・喜多方「ほまれ酒造」酒蔵見学レポート

福島・喜多方「ほまれ酒造」酒蔵見学レポート

世界が認めた老舗蔵「ほまれ酒造」の歴史

1918年(大正7年)に創業した「ほまれ酒造」は、福島県喜多方市に蔵を構える老舗の酒蔵です。創業者・唐橋幸作氏が築いたこの蔵は、米穀商や味噌・麹製造業を経て酒造業に進出し、現在では100年以上の歴史を誇る全国有数の蔵元となりました。

「会津ほまれ」というブランド名は、創業者が地元・会津への誇りを込めて命名したもので、ひらがな表記にしたことで親しみやすさと独自性を兼ね備えた酒名となっています。名筆家・比田井天来による筆文字のロゴも、蔵の品格と伝統を感じさせる印象的な要素です。

そして2015年、同蔵の「播州産山田錦仕込 純米大吟醸酒」が、世界最大級のワインコンテスト「IWC(インターナショナル・ワインチャレンジ)」の日本酒部門で最高賞「チャンピオン・サケ」を獲得。福島県内の酒蔵が初めて世界一の称号を手にするという快挙で、日本酒業界にとっても歴史的な出来事でした。

蔵のこだわり:水・米・技術が織りなす「やさしい旨さ」

ほまれ酒造の酒造りの特徴は、超軟水仕込みによるやさしくまろやかな酒質にあります。仕込み水には、飯豊山の伏流水を使用。この水は硬度わずか32という超軟水で、口当たりが柔らかく、発酵を穏やかに進めるため、繊細で品のある味わいの酒が仕上がります。

また、原料米にも徹底的にこだわり、兵庫県産山田錦をはじめとした酒造好適米を用い、用途ごとに最適な品種を選定。地元農家との契約栽培によって安定した品質と供給を実現しています。

さらに、杜氏・中島一郎氏を中心とした蔵人たちは、伝統技術と最新技術の融合を図り、各工程で数値データを駆使した精密な管理を行いながら、安定した高品質の酒を醸しています。その結果、IWCや全国新酒鑑評会での受賞が続いており、「世界に誇る会津の地酒」として確かな地位を築いています。

見学ツアー:酒造りの現場を肌で感じる体験

酒蔵見学は、予約不要で1日3回(10:30、11:30、14:30)実施されるガイド付きツアーに参加できます。所要時間は約15〜20分で、参加費は無料。
実際に酒造りの現場である仕込み蔵へ移動。ここでは世界最大級とされる屋外冷却タンク(金九基)を目の当たりにすることができ、そのスケールに驚かされます。
さらに、貯蔵庫や瓶詰めラインをガラス越しに見学しながら、仕込み・瓶詰め・出荷までの流れを学べます。途中には、仕込み水の試飲や水質パネル展示もあり、「水の違いが味を変える」という日本酒の奥深さを実感できます。

自然と調和する癒しの空間「雲嶺庵」

蔵見学の後には、直売所と併設された1300坪の日本庭園「雲嶺庵」の散策が楽しめます。池泉回遊式の本格的な庭園は、春のツツジ、夏の青もみじ、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の美しさが魅力です。池に架かる石橋や、苔むした石灯籠が点在する風景は、訪れる人の心を穏やかにしてくれます。

庭の一角には木造の茶室風ラウンジもあり、庭を眺めながらゆったりとしたひとときを過ごせます。また、雲嶺庵では季節のイベントや試飲会が開催されることもあり、地元の人々との交流の場にもなっています。時間を忘れて自然と一体化できるこの空間は、まさに大人の隠れ家といえるでしょう。

試飲体験:自分好みの一本を見つける

試飲コーナーでは、人気銘柄10種以上が無料で提供されています。スタッフが丁寧に注いでくれ、それぞれの酒の特徴やおすすめの飲み方も教えてくれるので、初心者でも安心して楽しめます。
見学後は、雲嶺庵の売店で試飲した日本酒をそのまま購入可能です。季節限定酒や蔵限定酒、リキュールや化粧水まで豊富な商品ラインナップが揃っており、お土産や贈り物にも最適です。

アクセスと周辺情報

住所:福島県喜多方市松山町村松字常盤町2706

交通:JR喜多方駅からタクシーで約10分/会津若松ICから車で約40分

駐車場:乗用車・観光バス対応の無料駐車場あり

見学・入場料:無料(ガイド付きツアー、庭園含む)

営業時間:9:00〜16:30(木曜・年末年始休)

観光のついでに訪れるのもおすすめで、喜多方ラーメンや蔵の街並みとの組み合わせで一日中楽しめる旅のプランが組めます。
会津の風土と伝統、蔵人の想い、そして名水と技が織りなす一杯の酒。ぜひ現地で、その奥深い魅力を味わってみてください。

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